一日一楽

2024年春、セカンドライフが始まりました。

年を取っても美しく生きたい

近所のスーパーに買い物に行ったら、1人の高齢の女性客とやたらと進路がかぶった。

その女性客、カートに杖を差し込んでいて、それがニュッと横に飛び出している。狭い通路ですれ違おうとすると杖の先が当たってしまう。

また、その人、しょっちゅう通路のど真ん中で立ち止まって商品棚を見ている。その間他のお客たちは身動き取れなくなって通路が大渋滞。左右どちらかに寄ってくれれば皆通れるのに。

 

そのスーパーでは、2~3個のレジに対して1つのフォーク並びの列を作る形になっている。新型コロナが流行って以来、床に目印の足跡シールと矢印が貼ってあり、少しレジから離れたところに最前列の人が来るようになっている。

私が一番端のレジの列に並んでいたら、その高齢の女性客が私の後ろを通って隣の列に行き、最前列の人の前に割り込んでレジに入っていった。店員さんが気づいて「後ろに並んでください」と言ったら、渋々Uターンして、今度は私の後ろに来た。

少し距離を取って足跡マークの所に立てばいいのに、なぜかほとんど背中にくっつきそうな位置まで来て斜めに自分のカートを押し出して私のすぐ横につけ、じーっとこちらを見てくる。

たまにいるんだよな、「商品数少ないから先に行かせてくれない?」とか「年取って待つのしんどいから先にいい?」って言ってくる人。

別に譲る筋合いもないし、前の人が大量の買い物をしていて私自身も十分長時間待っていたし、何より今までの流れから気持ちよく譲ってあげたい気分じゃなかったので、「お先にどうぞ」とは言わなかった。

譲ってもらえないのがわかったか、舌打ちしそうな苦々しい顔でその高齢客は後ろに下がった。

 

私の会計が終わり、その人の番になったら、レジさんとちょっとやり取りした後レジ台に乱暴に商品を置いていなくなってしまった。なんだろうと思ったら、レジさんがフロアスタッフに「商品を売場に戻してください、財布お忘れだそうです」って。

やれやれ、散々他の人の進路妨害して割り込みもして、財布忘れかい。

 

年を取って動きが緩慢になるのは仕方のないことなんだけど、体の問題というよりはむしろ心がけの問題も大きいと思うのだ。周囲の人の通行を妨げないよう少し気をつけて位置取りをするとか、年寄りなんだから周りが譲るべきという変なマイルールをゴリ押ししないとか、自分のミスで店員に余分な作業をさせることになったときに逆ギレのようにするんじゃなくて一言謝りの言葉をかけるとか。

 

自分がスーパーでパートしていると高齢客と接する機会がたくさんあるんだけど、生き方って出るよなぁと思う。

届かない場所にある商品を取ってもらいたいとき、「ちょっと!」と呼びつけて「あれ」と顎をしゃくって取らせようとするお客もいれば、「すみません」と声をかけてきて「あれ取ってもらえますか」と言う人もいる。取ってあげた後に前者はだいたいお礼言わない。後者はちゃんと「ありがとう」と言ってくれる。

かごに入れたもののやっぱり買うのをやめたい商品があったときに、全然違う売場に突っ込んでいくのは論外として、無言で商品を渡してきて、こちらから聞かないと戻しだと言わない人もいるし、逆に「場所がわからなくなっちゃったの。申し訳ないけど戻しておいてくれる?」と言ってくる人もいる。

 

年取って体が動かなくなっても、精神は美しくありたいなと思うのである。